契約書は婚姻届
指環なんてただの形式で、重要なのは気持ちのはずだ。

「……へえ。
せっかく、あなたのためを思って云ってあげてるのに。
よっぽど不幸になりたいのね。
……あの子みたいに」

「え?」

「なんでもない、こっちの話。
……説得は失敗に終わった、と。
さて、どうしようかしら?」

にっこりと笑った侑岐に、朋香は怯え、身体をがたがたと震わせ、目にはうっすらと涙すら浮かんでいた。

 
高速を降りて急発進と急ブレーキに寿命が縮む思いをしながら辿り着いたのは……アウトレットモールだった。
 
「庶民はこういうところが好きでしょ?」

にやりと笑う侑岐に、どう返事をしていいのかわからない。


「ちょっとこれ、着てみなさいよ」

「は?」
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