契約書は婚姻届
「は?
なに云ってるんだい?
君と朋香を一緒になんてさせられるわけないだろう?」

「私よね!」

「僕だよね!」

云い争いを半ば呆れてみていた朋香だが、突然、決断を迫られて慌ててしまう。
 
「えっと。
……尚一郎さんで」

「ほら!」

勝ち誇って笑う尚一郎に侑岐は親指の爪を悔しそうにぎりぎりと噛んでいる。

……が。

正直に云えば、侑岐の急発進と急ブレーキを繰り返す運転が怖いだけの朋香だった。

 
駐車場に止めてあったベンツに高橋はいなかった。

「あれ?
高橋さんは?」
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