契約書は婚姻届
尚一郎は頷くと懐から封筒を出し、その中の紙を侑岐の目の前に置いた。

「ペンは必要かい?」

「持ってるからいいわ」

さらさらとサインして侑岐から返された書類を、尚一郎はなぜか、朋香に手渡した。

「尚一郎さん?」

「朋香が確認して」

渡された書類を読むと、内容は婚約破棄についてだった。

「これで僕と侑岐は正式に、婚約を破棄した。
前は口約束だったから、つっこまれるとなんとも云えなかったけど。
これは弁護士に作らせた、正式な書類だからね。
CEOも文句は云えない」

「……はい」

「そしてこれ」

新たに手渡された書類を読む。
そこには、朋香以外の人間とは絶対に結婚しないこと、朋香との結婚を認めてもらえれば、相続の一切を放棄すると書いてあった。
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