契約書は婚姻届
「……ダメ、ですよ。
……こんな」

「僕の妻は生涯、朋香ひとりだけだって、僕なりの宣誓だよ」

目の前で開けられた指環ケースには、さっき、侑岐の指に嵌まっていた指環が入っていた。

「ごめんなさい、朋香。
私が勝手に持ち出したの」

しおらしくしょげてしまった侑岐が意外だった。

そんなところがあるなんて。

さっきのやり取りからしても、思っているよりもずっといい人なのかもしれない。

「待たせてごめん。
ちゃんとした婚約指環だよ。
じゃあ、改めて。
……僕と結婚して欲しい」

じっと、碧い瞳がレンズの向こうから自分を見つめている。

きっぱり侑岐の目の前で、自分の妻は朋香だと云い切ってくれればそれでいいと思っていた。
朋香だけを愛してるとキスしてくれて、機嫌を取るのになにか買ってくれれば、もうそれで十分だった。
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