契約書は婚姻届
ようやく朋香の涙が落ち着いて尚一郎が離れると、苦笑いで口を開いた。

「尚一郎がそこまで決心するっていうなら、身を引くしかないし。
しっかり朋香を幸せにしなさいよ?」

「侑岐に云われなくたって」

尚一郎は朋香の目の前で書類にサインすると、婚約破棄の書類とともに封筒にしまった。

「あとはこれをCEOに渡せばおしまい。
きっと社長はクビになるだろうから、お義父さんの工場で雇ってもらおうか? 
あ、アメリカに渡ってしばらく侑岐の世話になって、あっちで起業するのもいいかもね」

「なあに? 
そこまで私に頼る気? 
あ、朋香のお父さんの、工場のことは心配しなくていいわ。
私がちゃんと、面倒見るから」

ぱちんと侑岐にウィンクされて、驚いてしまう。

「あの、侑岐さんって……」

重広といえば、あの、日本ではロボット開発第一人者の重広工業だろうと察しはつくが、ただの婚約者だとは思えない。
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