契約書は婚姻届
慣れないフランス料理に明夫は四苦八苦していたようだが、それ以外は和やかに食事は終わった。

「いつでも帰ってきなさい。
ひとりででも、ふたりででも。
ただし、今回みたいに喧嘩して、後先考えず飛び出してくるのは勘弁してくれ」

「……はい」

困ったように笑う明夫に、穴があったら入りたい。
財布も携帯も持たず、考えないしに家を飛び出すなど。

今回は何事もなく実家に帰り着いたからよかったものの、もしなにかあったらと想像すると、怖い。

「俺は大歓迎。
だって、姉ちゃんのメシ、うまいもん」

「……洋太」

「ごめん」

明夫にたしなめられ、うなだれる洋太につい、朋香も尚一郎も笑っていた。

「今度はちゃんと、連絡して帰るから。
もちろん、おみやげもいっぱいでね」
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