契約書は婚姻届
「尚一郎はそんなことも話してないんですか?
カーテ、カタリーナは尚一郎の母親で、私が世界一、愛している女性です。
ちなみに亡くなった妻は二番目ですが、三番目はないです」

自慢げに宣言されても困る。

「こほん。
それで」

つい熱くなっていたことに気付いたのか、照れたように小さく咳払いをして、尚恭が話を変えてきた。

「当主は朋香さんの云う通り、性悪くそじじぃ……ぷっ」

小さく吹き出すとまた尚恭は笑っている。
よっぽど気に入ったらしい。

「失礼。
あの通りの性格ですので、尚一郎を嫌悪していることは理解していますよね」

「……はい」

嫌でも理解するしかない。
呼び出しては毎回、非のない尚一郎を糾弾する達之助を見ていれば。
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