契約書は婚姻届
「おわっ、たー」

落ち葉を詰め込んだ、最後の袋の口を結び、額に浮く汗を拭う。
あたりはすでに、とっぷりと日が暮れていた。

「うん、きれいになった。
これなら文句ないでしょ」

チリひとつない庭を見回し、ひとり満足して頷くと、ぐーっ、おなかが派手な音を立てて苦笑する。

「……まだやっていたのですか」

聞こえてきた声に振り返ると、杉谷が呆れ気味に立っていた。

「だってこれが、私に命じられた仕事ですから」

すました顔で云い返してやったが、杉谷の反応は薄い。

「旦那様がお帰りになりました。
挨拶に行きますので取り急ぎ、その酷い身なりをなんとしてください」

「はい」

……必死で掃除をしていたせいか、朋香の身体にはあちこち落ち葉が引っ付いていた。
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