契約書は婚姻届
「……よく知ってるのね」

「いえ。
まだまだ勉強不足です」

にっこりと笑って茶碗を返すと、ぐぅっと自子が喉を詰まらせた。


結局、朋香に恥をかかせるどころか、優秀であることを証明してしまい、……そのあと。

「なんなの、あの女!
これで私に勝てたとでも!?」

お手洗いから戻る途中、先ほどの茶室で派手な音がするのでそっと覗いてみると、中は荒れ放題になっていた。
その中心で自子が髪を振り乱し、物に当たり散らしている。

「あんな女にわかる程度なんて!」

先ほどの黒楽茶碗を持ち上げたかと思ったら、思いっきり床に叩きつける。
気に入らないからと数千万の茶碗を迷いなく割る自子は……恐ろしい。
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