契約書は婚姻届
途中でとんだ茶会に呼ばれて邪魔が入ったものの、蔵の掃除はどうにかその日のうちに終わらせた。

台所でひとり、冷えたご飯を食べていると、音もなくやってきた杉谷に飛び上がる思いがした。

「旦那様が身体を洗ってほしいとのことです」

「はい?」

ぱりんと囓ったたくわんをバリバリとかみ砕きながら、まじまじと杉谷の顔を見てしまう。

……背中を流せってことなのかな?
なんか、やだな。

けれど、出掛かった言葉はたくわんと一緒にごくんと飲み込んだ。

「わかり、ました」

「では」

慌ててお茶で口をすすぎ、背中を向けた杉谷のあとを追う。
浴室まで来ると、衣装盆を渡された。

「旦那様は中でお待ちです。
これに着替えていってください。
ああ、下着はつけないこと」
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