契約書は婚姻届
「昼間は自子に恥をかかせたそうだな」

「……申し訳ありません」

恥をかかせた?
恥をかかせられそうになったのは朋香の方だ。

「酷く傷ついておったぞ?
どうしてくれる?」

「……申し訳、ありません」

謝罪の代償になにかしろと云われても、絶対に約束してはいけないと尚一郎から何度も云われた。
だからいまは、ひたすら謝ることに徹する。

「謝るだけか」

「申し訳、ありませんでした」

「あれの入れ知恵か」

ふん、不機嫌そうに達之助が鼻を鳴らすと、重苦しい沈黙がその場を支配した。
黙々と達之助の背中を荒い、お湯をくんで泡を流す。

「終わりました」
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