契約書は婚姻届
「そうそう、儂の子を孕んであれの子供として生んで育てるのなら、おまえもあれも認めてやってもいい」

好き勝手云う達之助に、口を真一文字に結んで嫌々と小さく首を振るが、あたまを押さえ込む力は弱まるどころかますます強くなっていく。
唇にふれそうなそれに、思わず、目をつぶった。

どんな試練も耐えてみせると誓った。
尚一郎の不利になるようなことは絶対にしない、と。

けれど、こんな辱めは耐えられない。

それに、達之助に穢された身体で、尚一郎の前で笑える自信がない。

なら、いっそ。

――舌噛んで、死ぬ。

「お待ちください!
旦那様はただいま、入浴中です!」

「火急の用だと云っているだろう!?」

「ですから、誰も入れないようにと!
お待ちください、尚恭様!」
< 344 / 541 >

この作品をシェア

pagetop