契約書は婚姻届
……恋愛関係はいつか終わりがくる。

侑岐の言葉がなぜか、胸に刺さった。
尚一郎との関係も、いつか終わりが来るのだろうか。

「朋香?」

心配そうに侑岐に顔をのぞき込まれ、慌てて浮かんだ考えを打ち消す。

「なんでもないです。
私、弟しかいないから、お姉ちゃんができたとか嬉しいです」

「あら奇遇ね。
私も姉弟、弟だけなのよ。
これがほんと、頼りにならない弟でねー」

笑って侑岐の愚痴を聞きながら、どうしてか心の中はもやもやしていた。

けれど、自分は尚一郎とずっと一緒にいると誓ったのだ。

そんなことはないはずだと、必死で否定した。



「そういえば侑岐さん、こっちの野々村さんって……」

途中、野々村がティーセットをワゴンで運んできてくれた。
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