契約書は婚姻届
「朋香?
大丈夫?」

「あ、……はい」

隣に座る侑岐の眉が心配そうに寄り、そっと肩を抱かれた。
温かい侑岐に、震えが治まる。

「やっぱりこの話、やめましょう?」

「続けて、ください。
きっと私が、知らなきゃいけないことだから」

ふるふると首を振り、侑岐の顔を見つめると、はぁっと小さくため息をつかれた。

「そうね。
当事者である朋香には、押部の複雑な事情を知る権利があるわ。
続けるけど、つらかったら云って。
すぐにやめるから」

「はい」

侑岐に手を握られると安心できる。
甘えるように肩に寄りかかると、ふふっと侑岐が苦笑いした。

「それでね。
何度も達之助おじいさまから陵辱された彼女は、妊娠してることに気付いたの。
思い悩んだ彼女は、その」
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