契約書は婚姻届
「でも、尚恭おじさまは優希を、実の弟として可愛がっているわ。
そこだけは救いかも」

「そうですね」

笑う侑岐に笑って答える。

押部家の複雑怪奇な人間関係は、朋香には理解できない。

セレブがそうなのか、押部家が特殊なのか。

とにかく、そんな中で生きていくには、尚一郎に守れるだけではダメだと思う。

自分ももっと、強くならなければ。



今日は泊まるという侑岐と、帰ってきた尚恭の三人で夕食を囲む。

「あの。
……私は本邸に、戻らなくていいんでしょうか?」

ずっと気になっていた。
尚一郎の出張中、朋香の身分は本邸預かり。

なのに、昨日あんなことがあったとはいえ、尚恭の屋敷でのんびりしてていいのかと。
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