契約書は婚姻届
「ああ、パスポートは優希が預かっています。
準備もすべて、昌子さんと優希が」

傍に控えていた優希が内ポケットからなにかを取り出すと尚恭に渡した。
さらに尚恭から朋香に渡されたそれはパスポートで、開いてみると間違いなく自分のものだった。

「え、ええっと……」

「ほら、行きますよ」

尚恭に強引に手を引っ張られ、困惑したまま出国手続きへと向かう。

「じゃあ、あとは頼んだよ、優希」

「いってらっしゃいませ」

こうして朋香は突然、ヨーロッパへと旅だった。



飛行機はさすがというかプライベートジェットだった。
ただし個人所有ではなく、会社で所有しているのだという。
おかげでフランスまで十二時間ほどの旅も快適に過ごせた。
さらには、尚一郎に会えるんじゃないかという期待がある。
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