契約書は婚姻届
尚一郎が微かに上げた声に、慌てて携帯の画面をベッドの上に伏せる。

……起きてない、よね。

おそるおそる窺ったが、尚一郎は抱き枕よろしく朋香をしっかりと抱きしめたまま、ぐっすり眠っているようだ。

フランス時間で何時なのか調べようかと思ったが、やめた。
疲れている尚一郎を、起こすようなことはしたくない。

じっとしているのは暇だと思ったが、すーすーと尚一郎の規則正しい寝息を聞いていると、次第に朋香もまた眠くなってくる。

結局そのまま、また眠ってしまった。


次に目が覚めたときも、尚一郎は眠っていた。

まだ日も昇ってないようで、カーテンの向こうは暗い。

じっとしているつもりだったが、さっきからトイレに行きたい。
それに、喉も渇いた。

しばらく我慢していたが耐えきれなくなって、そっと尚一郎を起こさないようにベッドを抜け出す。
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