契約書は婚姻届
「朋香、紹介するね。
僕の母親のカーテ。
カーテ・ハインツ。
母さん、僕の妻の朋香です」

「はじめまして、朋香です」

「ハジメマシテ、トモカ。
コンニチハ」

ぎゅーっと抱きしめられて戸惑う朋香に、カーテが眉を寄せて不安そうになった。

「尚一郎、私の日本語、おかしい?」

「違いますよ。
日本ではこういう挨拶はしないから、驚いてるだけです」

「はい、ちょっと驚いただけです。
日本語、お上手ですね」

慌てて説明すると、ぱーっとカーテの顔が輝いた。
それはまるで、尚一郎が見えない尻尾を振ってるときと同じ顔で、やっぱり親子なんだなーと変に感心してしまう。

「ニホンゴ、スコシネ。
朋香もドイツ語、お上手ね」
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