契約書は婚姻届
そういえば侑岐だって、自分の会社を経営している。

なにもせずにただ、尚一郎に養われているだけの自分に朋香は劣等感を抱いていた。

「朋香?」

「なんでもないです」

心配そうに尚一郎が顔をのぞき込むので、精一杯笑顔を作って俯きかけた顔を上げる。

日本に帰ったら自分にできることをなにか探そう。
侑岐に相談してみてもいい。

そんなことを考えると、少し楽しみになってきた。


車は気が付けば、郊外を走っていた。
どんどん家がまばらになっていく。

「母さん?
どこまで行く気ですか」

「着くまで秘密よ」

向かい合って座るカーテがぱちんとウィンクすると、尚一郎の口から大きなため息が落ちた。
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