契約書は婚姻届
中からは尚一郎がドアをどんどんと叩く音が聞こえてくるが、少しも開く様子はない。

「これで邪魔者はいなくなったし。
行きましょう、朋香」

ぱちんとウィンクするカーテに、いいのかなーと思いながら朋香は引きずられていった。



「ここはワインが有名な街なのよ」

カーテに案内される街はいかにもヨーロッパという感じで、朋香をわくわくさせた。

さんざん歩いて、川沿いのホテルのカフェでお茶にする。
目の前にはライン川が広がっており、気持ちがいい。

「ありがとう、朋香。
尚一郎を連れてきてくれて」

突然、カーテに手を両手で握られて驚いた。

「私は別になにもしてないです」

確かにカーテに会いに行くのは渋っていたが、招待を受けて決めたのは尚一郎だったし、朋香は事後承諾に近かった。
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