契約書は婚姻届
「ううん。
朋香に出会ったから尚一郎の気持ちが変わって、会いに来てくれたんだと思う。
トモカ、アリガトウ」

「カーテさん……」

うっすらと涙を浮かべているカーテに、なんと言葉をかけていいのかわからない。

そもそも、どうして尚一郎はカーテにずっと、会わなかったのだろう。
尚恭は頻繁に会いに行っているようだが。

「私は尚一郎が日本に行けば、酷い目に遭うことがわかっていながら送り出したの。
愛する尚恭の頼みだったし、それに大親友の麻祐子がした最初で最後の頼みだから断れなかった。
きっと、尚一郎は私を恨んでいるわ」

「それは……」

ない、と云い切ろうとして言葉に詰まる。
自分ならきっと、送り出した親を恨んでいるだろう。
それに尚一郎からほとんど、カーテの話は聞いたことがない……が。

「そういえば尚一郎さん、カーテさんに就職祝いにもらったんだって車を大事にしてました。
なんだかそれが、嬉しそうでしたよ」
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