契約書は婚姻届
ドアの前に置いたソファーは、ふたりがかりで動かしていた。

「ドアから出られないなら、窓から出ましたが?」

「あそこ三階……」

「シーツや近くの植木を伝って出られましたよ」

なんでもないような顔を尚一郎はしているが、そういう問題じゃない気がする。

「Oh、Ninja!!」

「は?」

「はい?」

目をきらきらと輝かせ、両手を胸の前で堅く握り合わせたカーテが勢いよく立ち上がり、思わず尚一郎と顔を見合わせてしまう。

「尚一郎は日本で、忍者になったのね!
ファンタスティシェ!」

「忍者……」

つい、忍び装束で手裏剣を投げている尚一郎を想像してしまい、笑ってはいけないと思いつつも肩が震えてしまう。
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