契約書は婚姻届
両手で顔を覆って隠してしまった尚一郎の耳は、酔っているだけではないように真っ赤に染まっていた。
そんな姿がまた新鮮で、ついくすくすと笑ってしまう。

「そういえば昼間、母さんとなにを話していたんだい?」

ごくごくと冷たい水を飲むと少し落ち着いたのか、改まって尚一郎が聞いてきた。

「んー、内緒ですよ」

きっと、カーテは朋香にだけに、胸の内を話してくれたんだと思う。
だから、話すべきじゃないと判断を下した。

「とーもーかー」

「うっ」

ジト目で睨まれると困るが、やはり話すつもりはない。
けれど。

「尚一郎さんってお義母さんが嫌いですか?」

「なんでそう思うんだい?」

「なんとなく、態度が硬い気がします。
会いに来るのも凄く、渋ってたし」
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