契約書は婚姻届
がばりと顔を上げた尚一郎はぷりぷり怒っているが、それは仕方ないだろう。

カーテの自業自得だ。

もしかして、尚一郎が尚恭に対して態度が硬いのも、淋しさや裏切られたという気持ちよりも、同じことを云われたんじゃないだろうかと想像してしまった。



翌朝は朝食がすんだとたん、カーテにまた拉致られた。

「母さん!
何度云ったらわかるんですか!?」

抗議する尚一郎を後目に、カーテは朋香をずるずると引きずっていく。

「うるさいわねー。
尚一郎は部屋に衣装を用意してあるからそれに着替えてて。
わかった?」

くるりと振り向いたカーテが尚一郎の鼻先に、命じるように人差し指をビシッと突きつけた。

「……衣装ってなんですか?」
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