契約書は婚姻届
自分にそんな仕事ばかり押しつける達之助を呪った。
けれど一番は、そんな達之助に立ち向かえない弱い自分だと責めていた。


少しでもささくれ立つ気持ちを落ち着けようと、コンビニに寄って缶コーヒーを買う。

会計をすませ、プルタブを起こしたとこで携帯が鳴った。
背面ディスプレイを見ると会社から。

とたんに不機嫌になり、携帯を開いて通話ボタンを押しながら店を出る。

「はい、押部……」

ドン!

胸元に感じた衝撃に下を見ると、前を見ずに走ってきた小学生の少年が尚一郎に激突していた。

それだけならまだいい。

衝撃で開けたばかりの缶コーヒーがこぼれ、スーツを濡らしている。

「Ach,verdammt!(うわっ、畜生!) 」
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