契約書は婚姻届
思わず口をついて出てドイツ語に少年は一瞬ひるんだが、次の瞬間、謝るどころか逆ギレされた。

「おまえが悪いんだからな!
ぼーっとしてるから。
だいたい、ここは日本なんだから日本語話せ、外人!」

連日の苛立ちに先ほども罵られというのに、さらには少年に逆ギレされて完全にあたまに血が上っていた。

「Halt die Klappe!(黙れ!)
Sie sind falsch! (悪いのは君だろ!)
Na,was soll das!?(これはいったいどういうつもりだよ、え!?)」

高圧的に見下ろし、一気にまくし立てると気分は幾分すっきりした。
が、少し冷静になって少年を見ると、目にうっすらと涙を浮かべており、悪いことをした気分になってくる。

しかし、悪いのは自分ではないはずだと、頑なに謝るつもりはなかった。

「Kommt nicht infrage(話にならないな)」

「さっきから見てたんですけど」

唐突にかけられた声に振り返ると、女子高生が立っている。
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