契約書は婚姻届
「ごめんなさい!
私もう、行かなきゃ!
もうちょっとやったら落ちると思うから、そのハンカチ、あげます!
じゃあ!」

「えっ、あ……」

引き留める間もなく、少女は手を振ると元気に去っていってしまった。



「……それが、朋香だったってわけ。
ほら、凄く恥ずかしい話だろ?
高校生の朋香に怒られた上に、一目惚れなんてさ」

尚一郎は恥ずかしくて見られたくないのか枕に顔をうずめているが、朋香は必死に、記憶を探っていた。

……高校生のとき……そんなことあったっけ?

しばらく悩んでそういえば、背の高い外国人と話したことがあったなと思い出した。

そのすぐ後、和子を事故で亡くして慌ただしく過ごし、あのあたりの記憶は曖昧になっている。
< 457 / 541 >

この作品をシェア

pagetop