契約書は婚姻届
「ああ、云い方が悪かったな。
あの男が復讐され、叩きのめされる様を特等席で見たくないか」

そんなことが可能なのだろうか。
思わず尚恭の顔を見返すと、静かに頷かれた。

「この優希も」

尚恭がわずかに首を後ろに向けると、控えていた男が小さくあたまを下げた。

「そして優希の母親も、ずっとあの男への復讐がなされる瞬間を見るために、オシベの家に仕えている。
……これで意味がわかるだろうか」

きっと、尚一郎はあの男に復讐するのにやってきた、またとない逸材なのだろう。

そのために犠牲にされたのには腹が立つが、尚恭に刃向かって無事でいられる気はしない。

それよりも話に乗って特等席であの男が復讐される様をみる方が、ずっとおもしろい。

「……俺は、どうすれば」
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