君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 同居生活一日目は、無事に過ぎようとしていた。

 ドラマや漫画にあるような、お風呂場でドッキリ、的なイベントも無く、私はある程度片付けを済ませた部屋で、ぼんやりと母の『引き継ぎノート』をぱらぱらとめくっていた。

 残念ながら、『守護聖獣』についての記載はいっさい無かった。

 自分の死後の始末について、あそこまでそつなく準備をしていた母らしく無いと思った。

 そしてこうも思った。この、『守護聖獣』が、母が父と離婚した原因なのでは無いか、と。
 礼門は、黄金川家は、代々聖獣を操る家系なのだと言っていた。父と礼門はわかる。しかし、母は、どういう経緯で、聖獣を得ることになったのだろう。

 父との婚姻で、と、仮定すれば、結婚前は『守護聖獣』を『持って』いなかったという事になる。そして、征治さん。彼も聖獣『青龍』を持っているという。苗字は違うけれど、親族ではないのだろうか。

 麒麟、の、ポジションがいまいちわからないのだけれど、『青龍』『白虎』となると、他に、『朱雀』と『玄武』がいるはずだ。その人たちも、礼門や征治さんのように、あのリストバンドをしていて、出したりしまったりできるのか……いまいち仕組みと因果関係がわからない。

 ともかく、私は情報が欲しかった。手っ取り早く礼門に聞くのがよさそうだけれど、征治さん曰く、既に仕事をしていて、忙しいらしい。そうなると、情報源は一人しかいないのだ。

 私がリビングに行くと、征治さんはまだキッチンにいた。

「……やっぱり、征治さんは、料理人じゃないんですか?」

 私が声をかけると、征治さんは少し驚いたように私を見て、

「いいえ、ちがいますよ」

 と、答えた。カウンターキッチンのカウンターにあったスツールに腰掛けて、

「じゃあ、征治さんて、何をしている方なんでしょう?」

 と、ずっと気になっていた事を尋ねてみた。

「若の秘書として、黄金川財閥からお給料をいただいています」

「秘書って、具体的にどんな事をするんですか?」

 そう聞くと、征治さんは、少し考えこんで、

「うーん、色々です、単純にカバン持ち、という事もありますし、お身の回りのお世話、運転手……、あ、そうです、明日から、若は、こちらで素子さんとご一緒に食事をされるそうなので、お食事の準備については、私におまかせください」
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