大剣のエーテル

そんな2人のやりとりを複雑な表情で見つめていると、イヴァンさんが短く指示を飛ばした。


「ほら、早く行くぞ。さっさと支局に行かないと、ロルフが巡回に出ちまうかもしれねぇ。」


イヴァンさんはスーツを翻し「あいつの場合、巡回という名のサボりでしょ」とぼやく2人を連れて歩き出した。


「側にいれなくてごめんね、ノアちゃん!気をつけてねー!すぐ戻ってくるからっ!約束だよー!」


遠くから聞こえるランバートの声に手を振ると、辺りは急に静かになったように感じる。


(…街中で1人になるのは初めてだな。ランバートたちの言う通り、おとなしく待ってよう。)


少し心細い気持ちをそっと抱え、私は噴水の側に腰をかけた。

改めてレンガ造りの街を見渡す。


(この街のどこかに、ロルフさんがいるんだ。…早く会ってみたいなぁ…)


と、その時だった。

私の目に、ある露店の看板が止まる。


“古本市”


「本屋さんだぁ…!!!」


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