大剣のエーテル

まばたきをして彼を見上げていると、ワインレッドの髪の青年は、色っぽく微笑んで口を開いた。


「あー、警戒すんな。悪い奴じゃねぇよ。俺はどちらかというと“正義の味方”だから。」


「…は、はぁ…。」


彼のペースに巻き込まれるようにして相槌を打つと、彼はにっこりしながら言葉を続ける。


「いや、俺の“悪友”が本好きでよ。そいつみたいに目ぇキラッキラさせて本を読んでた可愛い子がいたからさ。つい、声をかけちまった。」


(!か、可愛い子…?)


さらり、と告げられた彼の言葉に、つい、持っていた本が手から滑り落ちる。

ばさり、と落ちた本を楽しげに拾い上げた青年は、薔薇色の瞳で私を見つめた。


「ほらよ。…ったく、ぼけーっ、とした奴だな。ますますそっくりだぜ。」


くすくす笑う彼は、悪い人ではなさそうだ。

心から楽しそうに、私の隣に並んで本を手に取っている。


(…なんだか、不思議な引力を持っている人だな。悩みとかなさそう…)


私が、青年を見上げて様子を伺っていた

その時だった。


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