大剣のエーテル
ざわざわ…
何やら、露店のお客たちが騒ぎ始めた。
「?何だぁ?」
青年が、ふいっ、と辺りを見回すと、人々の声が聞こえてくる。
「ねぇ、聞いた?今、“あの”エーテルの団員達がこの街に来ているらしいわよ!」
「えぇ。さっき、この近くで見かけた人がいるらしいわ!」
(…!“エーテル”…?)
まさか、ランバート達が噂になっているのだろうか。
人々は色めき立つように騒ぎ出す。
「私、さっきイヴァン様にエーテル支局の場所を聞かれちゃったぁ…!あの琥珀の瞳で見つめられたら、魔法をかけられなくても痺れるわよねぇ…!」
「ルタ様は、今日も白衣が似合っていらしたわ…!この街にいる間に、仮病でもいいから診察してもらおうかしら…!」
「おい、聞いたか!団長のランバート様もご一緒だったらしい!一目でいいから見てみたいなぁ…!」
(…すごい人気なんだな。そりゃあエーテルは、国中に噂が広まるほどの最強集団だもんね。)
彼らは、まるでアイドル扱いだ。
改めて、私はすごい人たちと旅を共にしていたのだと思い知る。
するとその時。
私の隣に立つ青年が、人々の噂を聞いた途端、目の色を変えた。
「…へぇ……、エーテルの奴らがねぇ…」
ぼそり、と呟いた彼は、先ほど以上に好奇心いっぱいの表情だ。