大剣のエーテル

どこか楽しげな彼に首を傾げていると、露店の陰から白い制服を着た男性達が現れた。

彼らは、嬉々として噂をしている人々を冷めたような瞳で見つめ、ぼそぼそと呟く。


「…ふん。エーテルがなんだ。この街の治安を守っているのは、俺たち“レガリア”だというのに。」


「魔力が高いだけで王に声をかけられたエーテルは、正直、調子乗ってるよな。」


(…!この人たち、今、自分のことを“レガリア”って言ってたよね。レガリアって、エーテルをこころよく思っていないの…?)


どこか険悪な雰囲気の2人組は、愚痴を漏らすかのように話を続ける。


「エーテルの団長は、実力こそあるが、非情で傲慢な男らしいし。…そんな奴の下にはつきたくないぜ。」


(…!)


“エーテルの団長”という言葉に、ぴくり、と反応してしまう。

どうやら、ランバートの話をしているようだ。

だが、その内容は聞いていて気持ちの良いものではない。


(“非情”で“傲慢”…?ランバートとはかけ離れた言葉だと思うけど…。何でそんなことを…)


つい、もやもやした怒りがこみ上げ聞き耳を立てていると、男性の1人が耳を疑う言葉を口にした。


「あぁ、“2年前の事件”だろ?自分の足を引っ張った仲間の魔法陣を砕いて、エーテルを追放したっていう…」


(…え…?)


どくん!


心臓が鈍く音を立てた瞬間。

ドスのきいた声が辺りに響いた。


「…おい。今、なんて言った…?」


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