大剣のエーテル


視界が開けたのと体がふわりと浮いた感覚がしたのは、ほぼ同時だった。


「きゃぁっ?!」


ランバートに抱き抱えられたまま、ガラスに空いた穴に飛び込む。

キラキラとしたガラスの破片が視界に映ったその時。

エーテル達は一斉に本部の外へ続く扉へダイブした。


ドゴォッ!!


半ば蹴破るように扉を破壊したランバートは、タン!と地面に着地する。

彼に身をまかせるしかなかった私は、ドキドキと高鳴る心臓を必死で抑えた。


「ふぅ。…大丈夫?ノアちゃん。」


「…な、なんとか……」


(っ、死ぬかと思った…!)


小さく呼吸をしたランバートは涼しい顔をしている。

まるで、やっと準備体操を終えたような表情のランバートに、私は心の中で呟いた。


(…この人、やっぱり普通じゃない…)


「おー、やっと外に出れたな!こんなに魔力を使ったのは久しぶりだぜ。」


空を見上げながら笑ってそう言ったロルフは、どこか楽しげだ。

だが、後ろから続いて来た保護者組の表情には疲労の色が見える。

イヴァンさんとルタは、眉を寄せながら口々にぼやいた。


「こんな滅茶苦茶な作戦はこりごりだ。」


「…同感。二度とやんない。」

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