大剣のエーテル

ボゥッ!!


瞬きの瞬間、燃え盛る炎が陣から放たれた。

渦になるようにして勢いを増す火炎は、まっすぐガラスの壁にぶつかる。


ゴォォォオオ!!!


密室空間の気温が急上昇した。


(サウナ…どころじゃない…!)


ジリジリと暑くなる空気に息苦しくなる。

ランバートは、私を火の粉から庇うように体を屈めた。

と、その時。

ひんやりとした冷気が頬に当たる。


パキパキパキ…!


はっきりとした輪郭で形作られた雪の結晶が、ルタの碧い魔法陣から放たれた。

吹雪のように吹き荒れた冷気は、扉を包んでいた炎を巻き込む。


ビュォォオオッ!


一気に冷却される密室。

先ほどまで暑かったせいか、肌が焼けるように痛い。

外套に守られているとはいえ、体にかかる負担は相当だ。

ランバートが、ぐっ、と私を抱きしめる腕に力を込めた。


…パキ…!


かすかに、ガラスにひびが入ったような音が耳に届く。


「イヴァン!今だ!!」


ランバートの声が響いた瞬間。

イヴァンさんが拳銃の引き金を引いた。


パァン!!


魔力が込められた雷の弾は、大きく変形しながらガラスに飛んでいく。


ガシャァン!!!


ガラスの壁を貫く雷の弾。

密室にこもっていた空気が一気に外の世界へと流れ出す。


(壁が壊れた…!!)


安堵が込み上げたその時。

体が、空気の流れに引き込まれるようにぐらついた。


(も、持っていかれる…!!)


すると、ランバートがひょい、と私を抱き上げた。


「掴まっててね、ノアちゃん!」


「えっ?!」

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