大剣のエーテル
「お前たち、そこを動くな!」
ピーッ、という甲高い笛の音とともに、数人のレガリアの隊員達が駆けてきた。
どうやら、扉と壁を破壊した音に集まってきたようだ。
(爆弾魔の騒ぎに乗じて逃げられるかもって思ったのに、見つかっちゃった…!)
ちらり、とロルフを見ると、彼は何かに気がついたように眉を動かした。
そして一気に不機嫌になったように目を細める。
(…?)
彼のは視線の先を見ると、その理由はすぐに分かった。
駆け寄る隊員の中に、見覚えのある顔がいる。
(あの男の人、ランバートの悪口を言ってた隊員たちだ…!)
嫉妬に近い恨みがこもった低い声が蘇る。
“エーテルの団長は、実力こそあるが、非情で傲慢な男らしいし。…そんな奴の下にはつきたくないぜ。”
もやもやとした怒りが湧き上がった。
他のエーテル達は、ロルフと私の態度に何かを察した様子である。
と、その時。
空高くそびえるレガリア本部が地震が起きたかのように大きく震えた。
ドォン!!
東側の塔から煙が昇る。
(まさか、爆弾が爆発したの…?!)
嫌な予感が頭をよぎった瞬間。
本部の二階の壁ががらり、と崩れ、コンクリートの破片が、こちらに向かってくるレガリアの隊員達に降り注いだ。
(危ない!)
その場にいた全員が息を呑む。
時が止まったと感じた、その時だった。