大剣のエーテル

すると、私の言葉に“エーテルの内情をそこまで知っているのか”と言わんばかりの面をしたルタさんが、小さく息を吐きながら口を開いた。


「確かに、エーテルは一派の殲滅を任されて全国に散っているけど、俺がこの町に飛ばされた理由は他にある。…ざっくり言えば、ランバートの尻拭い。」


(え?)


彼の言葉に首を傾げると、ルタさんはさらり、と言葉を続けた。


「俺は、人斬り事件の被害者を“検死”するためにここに来た。事件の容疑者として疑われてたランバートの無実を証明するためにね。」


「えぇっ?!」


(ランバートが人斬りの容疑者?!どういうこと…?)


想定外の発言に言葉を失っていると、イヴァンさんが険しい顔をしながら口を開く。


「実は、人斬りに襲われた被害者は全員、剣で斬られたような傷をつけられて亡くなっていたんだ。魔法使いしかいないこの国で剣を持っている馬鹿はうちの団長くらいなんでな。真っ先に容疑者として白羽の矢が立ったってわけさ。」


するとルタさんも、イヴァンさんの言葉に続いて、じとっとランバートを睨みつける。


「この男…すぐに、ふらっと1人でいなくなるからアリバイもなくて…わざわざ俺が町に出向いて、被害者の体の傷とランバートの剣を比べて凶器じゃないかを調べる必要があったってわけ。」


(た、確かに、ルタさんの任務はランバートの尻拭いだ。)


どうやら、エーテルの団員たちは必然的に団長の世話を焼かざるを得ないらしい。

イヴァンさんを筆頭に、ルタさんもランバートの保護者として迷惑をかけられているようだ。

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