この愛、スイーツ以上
揺れ動く気持ち
「お姉ちゃーん」

「由梨、またなんかあったの? そうそう、お母さんから聞いたよ。毎日お弁当二個作ってるんだって? 東郷くんの分なんでしょ?」

「へ? あー、うん。でも、毎日といってもまだ3日だけしか作っていないけど」


3日前のあの日のサンドイッチは昼休みに食べてもらえなかったけど、私が退社支度をしていたら副社長が「あ」とサンドイッチの存在を思い出した。

難しい顔でパソコンを眺めていたから、どのタイミングで声を掛けてたらいいかと悩んでいた矢先だったので、思い出してくれたのはまさにグッドタイミングだった。

ケーキのことも思い出し、今一緒に食べようとなった。退社時刻は過ぎていたが、業務時間外のほうが気兼ねなく食べれたので私にとって好都合で、上品な甘さのショートケーキを堪能することが出来た。

しかしあの時、ケーキよりも副社長の方が甘かった。


「由梨はイチゴを先に食べる派? あとに食べる派?」

「好きなものは先に食べるので、イチゴも先に食べます」
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