この愛、スイーツ以上
美味しそうなケーキを前にして、顔を綻ばせた私は真っ先にイチゴを口に入れた。甘酸っぱくて美味しく、続けて食べたケーキももちろん美味しかった。

副社長はケーキの尖っている部分から食べ進めていき、イチゴだけを残した。最後にイチゴをフォークに差し、こちらを見る。

もしかして、嫌いで残していた?と思ったけど、藍華さんが嫌いなものを持ってくるはずがないと思い直したその時、イチゴは私の口の前に来た。


「え?」

「イチゴ、好きでしょ? あげる。ほら、口開けて」


前にも同じことをされたけど、これは何度されても恥ずかしいし、慣れるものではない。


「それは副社長のだから、副社長が食べてください。イチゴ嫌いじゃないですよね?」

「好きだよ。でも、由梨がイチゴを食べたときの笑顔がかわいかったから、由梨にあげたい」

「かわいかった……ですか?」

「うん。由梨が好きだから、もっと笑顔が見たいんだけど」


躊躇うことなくさらっと言っていたけど「かわいい」や「好き」を言われて、私は顔をイチゴのように赤くした。
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