この愛、スイーツ以上
そして、抵抗することを忘れて口を開け「美味しい」と笑顔を見せた。副社長は満足げな顔で頷いていて、その時の笑顔が……。


「お待たせ! ちょっとー、なんでそんな締まりのない顔してるのよ」

「え? ああ! 何でもない、何でもない。お疲れ様」


姉から片付けが終わるまで待っていてと言われ、3日前のことを思い出して、にやけてしまっていたようだ。

恥ずかしいと思ったのに、副社長の満足した笑顔についときめいてしまったから。

と、いつまでも回想している場合ではない。ここに来たのは理由があるからだ。


「二週間後、パーティーに出るからヘアメイクしてもらえる?」

「どんなパーティー?」

「どんなパーティー……あれ? 何のパーティーだろう?」

「どんなパーティーか分からないのに行くなんて呆れるわね。東郷くんのお供なんでしょ?」


そういえば、どこの主催でやるパーティーか聞いていなかった。強制参加と言われていたから、不参加という選択肢はないけれど、ある程度は把握しておく必要はある。

明日、副社長に聞いてみよう。
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