この愛、スイーツ以上
意外にあっさりと引き下がって、戻っていく副社長の背中を見送り、ひと息つく。それから大平さんと向き合った。

彼はちょっと困った顔をして、持っていたファイルを脇に挟んでから両手を顔の前で合わせた。


「ごめん。勝手なことを言っちゃったけど、よかったかな?」

「いいえ、助かりました。ありがとうございます」

「副社長となんかあった?」


さっきから大平さんには心配ばかりされている。それなのに何も話せない。

副社長との出来事は簡単に話せることではない。


「いえ、何もないです。ただふと総務部のみんなは元気かなと思い出して、来てしまいました」

「そう思うにはなにかあったからでしょ?」

「そうですね。曇っていく空を見ていたら寂しくなってしまって。総務部は人が多いけど、今はたった三人しかいないので静かなんですよ。賑やかなのが恋しくなってしまいました」

「ははっ、そうだね。確かに三人しかいないと静かだよね。いつでもこっちに顔出しなよ。俺も元気な吉川さんの顔が見れないのは寂しいからね」


大平さんとの会話に心が和み、私は気持ちを切り替えて副社長室に戻ることが出来た。
< 139 / 207 >

この作品をシェア

pagetop