この愛、スイーツ以上
戻った副社長室に、副社長は社長室へ行っていて不在だった。

安田さんにも無断で総務部へ行ったことを謝り、カップを片付けてくれたお礼を言った。


「副社長が心配するから、こういうことは二度とないようにしてくださいね」

「以後、気を付けます」


無断でいなくなるのは社会人として失格だ。安田さんはああいう状況では仕方がないと言ってくれたが、そこに甘えてはいけないと自分に言い聞かせる。

カップを洗ってから、パソコンに向き合っていると安田さんが躊躇いがちに話し掛けてきた。


「明日ですが、私は先に会場で待っていますので、吉川さんは副社長と一緒に来てくださいね。……それと、いろんな方が話し掛けてくると思いますが、返すのは挨拶だけで他の返事は副社長に任せてください。副社長のそばを離れないようにしてください」

「分かりました。なんか穏やかなパーティーではないように聞こえるのですが、気のせいですか?」


安田さんから伝えられた内容は副社長のもとを離れたら大変なことになると言われているように思える。
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