この愛、スイーツ以上
次から次へといろんな人が副社長のもとにやってきて、みんな私のことを訊ねるからそのたびに頭を下げた。

誰が誰だか全く分からないが、名刺を渡してきて名乗る人は僅かしかいなかった。副社長も挨拶だけで親しく話すこともなかったので、広く浅くといった交流なのかも。

パーティーが開始されると声を掛けてくる人はいなくなったが、ホテル社長をはじめとした数人の挨拶が終わり、暫し歓談の場となるとまた人が寄ってきた。


「吉川さん、こちらをどうぞ」

「ありがとうございます」


副社長のそばを離れられない私にかわって、安田さんがいろいろと動いてくれていて、何点かのオードブルをのせたプレートを渡してくれた。

飲み物は会場スタッフからもらえるが、壁際に置かれている食べ物はセルフとなっていて自分で取ってスタイルとなっている。

だけど、ゲストは話をしたりと録りにいけない。周囲を見るとどのゲストにも付き人のような人がいて、その人が運んでいた。

安田さんのように秘書の方なのかもしれない。

ちょうど年配夫婦との挨拶が終わったときで、安田さんは同じものを副社長にも渡した。
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