この愛、スイーツ以上
白ワインが入ったグラスを安田さんが持ってくれたので、遠慮なくローストビーフから食べる。

その場でカッティングされるローストビーフがここに来たときから美味しそうだなと、視界に入っていて気になっていた。だから、安田さんが取ってきてくれたのは嬉しかった。


「副社長、美味しいですよ」

「うん、美味しいね」


副社長も同じように食べていて、頷く。ずっと緊張していたからようやくひと休み出来た感じだ、

副社長と安田さんが言うように余計なことは言わないで、笑顔で挨拶だけをしていた。


「疲れたら、横にある椅子に座ってもいいんだけど、もう少し頑張れる?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ、これを食べたら挨拶に行くから付き合って」

「はい」


今日のパーティーは業務の一環だから、疲れたからと座る予定はなかった。安田さんからも座れないと思ってと伝えられていたので、心構えは出来ている。


食べ終えたプレートを安田さんに渡し、副社長の腕に手を添えた。

ただのOLが次期社長にここまで近付くのはどうなのかと思ってしまうが、彼に腕を差し出されたらそうするしかなかった。
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