この愛、スイーツ以上
箱の中にはもうひとつ入っていて、それを同じように出して紫乃ちゃん人形の横に置いた。

それはコロにそっくりな豆柴犬で私はまたいろんな方向から眺めた。耳の形、尻尾の形、毛の色、どれも見てもコロだった。

紫乃ちゃんとコロにそっくりな人形だけど、これは一体なんのために作ったのだろう。

中林さんは見本のカタログを副社長に手渡している。これは商品らしい。

いつどのように販売されるのだろう。


「では、なにか不都合とか直す部分等ありましたら、いつでも連絡をください」


箱と梱包材を抱えて、中林さんは商品開発部へ戻っていった。

副社長は二つの人形を手に取って、満足そうに微笑んでいる。こんなに喜びを表に出す副社長は珍しい。

私はカタログを見せてもらった。


「セミオーダーメイドですか?」

「そうなんですよ。吉川さん、これは副社長が企画したもので、二年かかってようやく形となりました」

「二年もかかってるんですね。すごいです」


安田さんはさらに詳しく説明してくれた。
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