この愛、スイーツ以上
さっきまでそこにいた安田さんがいない。いつの間に菅を消したのだろう。

安田さんの姿を探す私はいきなり腕を引っ張られて、副社長に腕の中。突然のことに思考はストップした。

なに?

これはなに?

抱き締められている?

今置かれている状態が信じられなくて、「なに?」が脳内でこだまする。


「ごめん。少しだけこのままでいさせて」


何も答えられなかったけど、引き離すことも出来なかった。


「元気のない由梨がどうしたら元気になってくれるのだろうかと毎日考えていて……正直疲れた。だから、癒して」


耳元で囁かれた「癒して」に私の心はぎゅっと締め付けられる。切ないような甘いような声に体の中からなにかが沸き上がる感じがした。

これ以上抱き締められ続くと私は正常な判断が出来なくなる。

少しだけの時間は終わったよね?

そろそろ離れてもいいよね?

離れてもらおうと意を込めて声を出したが、副社長の声が被さった。


「副社長、あの……」

「由梨」

「はい?」

「安田さんもいないことだし、涼太と呼んでみてくれないか?」
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