この愛、スイーツ以上
「もうそんな姿を想像しているんですか。さすがプロポーズするだけありますね」

「安田さん……嫌みに聞こえるのは気のせいかな?」

「気のせいですよ。私は褒めているし、感心しているんですよ。吉川さんへの愛の深さに」


愛の深さ?

何を言い出すの?

やっぱり安田さんが何を考えているのか分からない。


「あの着せ替え人形をリニューアルして、人形と同じドレスを子供だけではなく大人の女性も着れるようにする案も出ている」

「本当ですか?」

「今のところ最終審査に残っているから、商品化する可能性は高いよ。由梨くらいの子供の頃に遊んだことがある女性もターゲットにしているんだよね」

「それは楽しみですね!」


自分が好きだった人形が着ているドレスと同じものや着れるなんて、夢が叶ったみたいで素敵だ。商品化したら絶対に買いたい。

コスプレになってしまうかもしれないけど、楽しそう。


「副社長、話の論点がずれていますよ」


いい話を聞いたと喜び浸りそうになるが、安田さんが鋭く話を戻す。
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