この愛、スイーツ以上
「そんなにも俺の気持ちが聞きたいの? 悪趣味だね。あまり人前で言うのは好きではないんだけど」

「もう散々言っていると思いますが。では、また席をはずしましょうか?」

「安田さん! 待ってください。ここにいてください」


本気でここからいなくなろうと腰を浮かした安田さんを私は座ってというジェスチャーも交えて止めた。

今この場で二人だけにされては気まずくなるし、何よりも困る。今日は本当に疲れることばかりだ。

なんでこんなにも穏やかに過ごせない日なのだろう。厄日なのかな。

でも、抱き締められたのは嬉しかった。お願いされてのことで恥ずかしかったけど、嬉しい気持ちもあった。

だけど、これ以上は困惑するだけだ。

安田さんは副社長と私を交互に見てから椅子に座り直した。出ていくのはやめたようなので、とりあえず二人だけにならなくてひと安心。


「分かりました。この話はここまでにしておきます。もう私があれこれ言わなくても吉川さんはちゃんと感じてくれていると思いますしね。吉川さん、素直になる吉川さんが一番かわいいですよ」

「安田さんがかわいいと言わなくていいから」
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