この愛、スイーツ以上
「でも、俺は副社長である前に一人の男なんだけど。由梨は俺を男として見ることは出来ない?」

「一人の男として?」

「ああ」


確かに副社長は女ではなくて男だ。だけど、ただの男としては見たことも考えたこともない。

副社長である彼は挨拶さえも出来ないくらい遠い存在。そんな人とたまたまエレベーターで一緒になっただけ。

エレベーターで一緒になったのもこの前のことを含めて私の記憶の中では二回だけだ。

あの日は寝坊したことでいつもより出勤か遅れて、髪の毛がボサボサだったという最悪な状況だったから、髪がボタンに絡まるというアクシデントが起きた。

そんなことがなければ、彼は私の存在自体知らないし、こんなふうに話をすることもない。


「すみません、副社長は副社長であって普通の男の人と見ることは難しいです」

「じゃあ今から意識してみてよ」

「今からですか? 何のためにでしょう?」


わざわざ普通の男性として見なければいけない理由がないような。


「何でって、それはさ……うわっ、ビックリした」
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