この愛、スイーツ以上
「これでよし」
髪が落ちた場所だけではなく、床全体に掃除機をかけた。この15階だけは廊下も含めて全てがカーペット敷きの床になっている。足音が響かないなと少し強めに足踏みをしてみる。
うん、やっぱり響かない。
腕時計で時間を確認すると10時になるところだった。髪の毛を片付けたら戻ると伝えてあったので、静かに出てエレベーターに乗った。
「おはようございます。遅れてしまいまして、申し訳ありません」
「おはよう。奥山さんから聞いているし、安田さんからも電話をもらったから大丈夫だよ。お疲れさま」
「はい、ありがとうございます」
ホッとして、自分のデスクに座る。やっぱり副社長室よりもここ総務部の方が落ち着く。
引き出しからヘアゴムを出して、一つに髪をまとめた。これでカットした部分は分からないだろう。きっと誰にも気付かれていない。
大学卒業後、この会社に入社して三年が経ってようやく総務部の一員だと誇れる業務が出来るようになった。任せられる業務も増えて、やりがいを感じている。
「吉川さん、おはよう。朝から大変だったみたいだね」
「大平さん、おはようございます! ちょっとした災難に見舞われてしまいました」
髪が落ちた場所だけではなく、床全体に掃除機をかけた。この15階だけは廊下も含めて全てがカーペット敷きの床になっている。足音が響かないなと少し強めに足踏みをしてみる。
うん、やっぱり響かない。
腕時計で時間を確認すると10時になるところだった。髪の毛を片付けたら戻ると伝えてあったので、静かに出てエレベーターに乗った。
「おはようございます。遅れてしまいまして、申し訳ありません」
「おはよう。奥山さんから聞いているし、安田さんからも電話をもらったから大丈夫だよ。お疲れさま」
「はい、ありがとうございます」
ホッとして、自分のデスクに座る。やっぱり副社長室よりもここ総務部の方が落ち着く。
引き出しからヘアゴムを出して、一つに髪をまとめた。これでカットした部分は分からないだろう。きっと誰にも気付かれていない。
大学卒業後、この会社に入社して三年が経ってようやく総務部の一員だと誇れる業務が出来るようになった。任せられる業務も増えて、やりがいを感じている。
「吉川さん、おはよう。朝から大変だったみたいだね」
「大平さん、おはようございます! ちょっとした災難に見舞われてしまいました」